原田のブログ
猫の慢性腎臓病の管理〜食事編〜
2025-05-10
[猫,腎泌尿器科]
重要
猫ちゃんを過去に飼ったことがある方でしたら、ほとんどの方が聞いたことがあるであろう
「猫ちゃんは腎臓が悪くなりやすい」という話。
これってよく聞きますが、どれだけ多いかご存知でしょうか?
実は81%の猫ちゃんが慢性腎臓病になると言われております。
81%なので、ものすごく多いですよね。そのためほとんどの猫飼いさんにとって避けては通れない問題になります。
そして実際に慢性腎臓病になってしまった時に、頭を悩ませることになるのが食事の問題です。
今日は慢性腎臓病の猫ちゃんにどんな食事を与えるべきか、について一緒に考えてみたいと思います。
(少し前のブログと内容が被りますが、動画を作成したので、改めてアップしています)

腎臓が悪い子が食べるごはん
一言で腎臓病食と言っても、いろいろな種類があります。
まず、色々ある腎臓病用のご飯について整理してみましょう。
- シニア食
腎臓に配慮などの文言が記載されているが、厳密に腎臓用にリンや蛋白を制限しているフードではない。
- リン制限食(初期ステージ用療法食)
蛋白は制限せず、リンのみを制限しているフード
ステージ2で推奨される(?)
- 蛋白制限食(後期ステージ用療法食)
リンも蛋白も制限されているフード
ステージ3以降で推奨される
こんな感じに分類されます。ここでいうステージとはIRISのステージ分類のことです。
次にどのようなタイミングでどのようなご飯が推奨されているかをまとめていきます。
一般的には上記の通り、ステージ2でリン制限食を検討します。
ここではとりあえずリン制限食を食べさせるという選択もできまずが、
FGF-23の測定
最近のガイドラインでも提言されたのが
[ FGF-23の使用 ]
です。このFGF-23を使うことで、リン制限食を開始すべきか判断することができます。
より適切なタイミングで腎臓食に切り替える(とりあえずリン制限をするのではなく、ギリギリまで一般食を食べさせること)ことで、タンパク制限による体重減少を防ぐことができ健康寿命の延長につながります。
さらにステージが進行してステージ3以降になると、タンパク制限まで必要になるため、FGF-23の測定は不必要になります。したがってこの段階ではタンパク制限食を与えることが推奨されるのです。
しかし、現実的にはこの段階になると徐々に食欲が落ちてきて、十分な量のご飯が食べられなくなったりします。
その時にタンパク制限食に変えると、さらに食べなくなり、痩せてしまうというジレンマがあります。
そうった猫ちゃんでは食欲増進剤を用いたりして、食欲を維持する方法もありますが、
食べる分が少ないことを見越してシニア食や一般食を与えることもあります。
このように食事変更の判断に関しては非常に繊細な問題です。
なるべく一番いいフードを選べるように検査なども利用していただけると安心かと思います。
当院では健康診断のオプションにFGF-23を入れておりますので、気になる方はぜひお声がけください。